私が取り組んでいる農法や理念について紹介【移住者がテレワークしながら起農した件#番外編】

こんにちは!那須に移住して5年が過ぎ、一念発起して農業チャレンジを始めたAOです☆
私の野菜作りでは、色んな農法に取り組んでいます。
- 庭の家庭菜園での有機農法
- 借りてる畑の半分で栽培している自然農法のムクナ豆
- もう半分では菌ちゃん農法を採用
「なんか色々あって違いが分からん…」「どこで何の農法やってるんだっけ?」と混乱してきた人も多いかと思うので、
この記事では、それぞれの「農法の特徴・違い」や、「その農法を選択した理由」について整理していきます。
「なんで節操なく色んな農法やってんの?」との疑問にもお答えできると思いますよ♪
家庭菜園では「有機農法」
庭の家庭菜園では「有機農法」で野菜を育てています。
一般消費者にも「有機野菜」とか「オーガニック」という言葉で浸透してきていると思うので、まずはこちらから紹介しますね。

ちなみに”オーガニック”は英語で「有機の」って意味だよ
有機農法とは?
有機農法とは、化学農薬や化成肥料を避け、堆肥やボカシ肥料など有機物を畑に投入することで土壌微生物の力を意図的に活用する農法。
野菜の食味が増し商品価値が上がるというマーケティング戦略だけでなく、土壌環境への負荷を軽減できるという思想があります。
細かく言うと色々と規定はありますが、ざっくり言うとそんな感じです。
採用している理由
私が有機農法を家庭菜園で採用している理由は次の通り。
- もともと家の庭は「ただの森」に土建屋さんが土地整地のために外部の土を入れており、雑草も育たないような環境だった。そこでいきなり自然農法で野菜を育てるのは難しかった
- 森の中の立地なので、日当たりがよくない(日照時間が短い)点からも自然農法は適さない
- かといって慣行農法を採用するほどの規模感はない
などの理由から、消去法で考えて有機農法が最適だと判断しました。



そもそも当初は土を触ったこともなかった園芸初心者だったし自然農法は無理ゲーだったと思う
実は無知だった最初の頃は「”自然農法”ってなんか響きが好き♪」ぐらいの脳天気な考えもあったのですが、、、
実は「自然農法」は、読んで字のごとく”自然の力”に頼る農法なので、土・気候・生態系のバランスが良く、自然の循環が機能しやすい環境でないとうまくいきません。
農地として開墾された土地ならいざ知らず、那須のような寒冷地で、しかも雨が多すぎる地域で、ましてや本来の土ではなく整地用にどこぞから運び入れられた謎の土が投入された森の庭では、ずぶのド素人にはハードルが高いです。



土地整地の土は超粘土質だったしね
まずは有機物を投入して、微生物ちゃんたちが増えてくれて、生態系のバランスが健全な状態に戻さないといけません。
そんなこんなで、庭では有機農法を続けています。
畑のムクナ豆栽培は「自然農法」
借りた畑の半分のエリアでは、ムクナ豆の栽培を「自然農法」でやっていこうとしています。
自然農法とは?
自然農法は「自然の力に頼る(任せる)」自然回帰的な農法のこと。
「耕さない」「肥料をやらない」「農薬を使わない」が3大原則です。
ポリエチレンマルチを使わず草マルチを活用することも、自然農法ならではの特徴の1つです。
採用している理由
自然農法をムクナ豆栽培に採用している理由としては次の通り。
- ムクナ豆は肥料をあまり必要としない(自分で土中の栄養を確保できる)から、そもそも肥料を入れなくても良い
- 肥料を入れないなら「耕す」という作業が必ずしも必要ない
- ムクナ豆は虫や病気に強く、農薬が必要ない
この場所はムクナ豆栽培に特化する(季節の野菜を通年で育て続るわけではない)ので、「ムクナ豆が栽培できる環境であればOK!」ということで、自然農法を採用しました。



一人農業だから、できるだけ無駄を省いたら自然農法に行き着いたって感じだよ
畑の野菜栽培は「菌ちゃん農法」
畑の残り半分のエリアでは「菌ちゃん農法」を採用しています。
この中では最も新しく、まだまだ知名度の低いマイナーな農法です。
菌ちゃん農法とは?
菌ちゃん農法とは、土壌の微生物(親しみを込めて”菌ちゃん”と呼ばれている)の力を最大限に活かす農法のこと。
いわば自然農法と有機農法の中間的な立ち位置です。
- 一度畝を立てたらずっと使い続ける(不耕起)
- ポリエチレンマルチOK(むしろ利用を推奨)
- 刈り草や丸太などの有機物を投入(自然農法から見ると「堆肥・肥料の投入」に近しい行為だが有機農法から見ると「それは堆肥とも肥料とも言えない」)
- 農薬が不要(菌ちゃんパワーで野菜が強く育つから)
有機農法が「人為的に微生物に働かせる」という発想だとしたら、菌ちゃん農法は自然農法に近い「微生物の力を借りる」という発想です。
ただし「自然に任せる(=受動的)」自然農法と違い、「微生物がたくさん来てくれるように人間が環境づくりをして呼び込む(=能動的)」という点で思想が異なります。



極端に言うと自然農法は「野菜が育つようにお祈りする」ぐらいの栽培方法だよ
菌ちゃん農法で野菜が育つ理由を解説!』という記事でさらに詳しく解説しています。
『採用した理由
菌ちゃん農法を採用している理由は次の通り。
- 耕さなくて良いので大きな機械が必要ない(ていうか機械じゃできない)
- 畑の草や自宅近辺の木々等の有機物が無限に手に入る
- 虫や病気に強く育つので農薬が不要
- 野菜が美味しく栄養価が高く栽培できる
- 自然農法よりも再現性が高い(”お祈り”じゃない)
- 他の有機農家と差別化できる(将来的に販売することになった際に強みになる)



ちなみに菌ちゃん農法はマメ科には適さないのでムクナ豆栽培では採用してないよ
去年の試験栽培を経て菌ちゃん畝を増やしている段階ではありますが、今後も様々な野菜を育ててみるつもりです!
農法によってどう違うの?各農法のメリット・デメリットを比較
改めて、それぞれの農法の特徴やメリット・デメリットについて一覧で比較してみます。
違いがわかりやすいように、私が採用していない慣行農法も含めてみました。
農法 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
慣行農法 | 化学肥料・農薬を活用し効率重視 | 安定した収量・病害虫に強い・機械化可能 | 環境負荷・土壌劣化・農薬残留リスク |
有機農法 | 化学合成物不使用・有機肥料活用 | 環境にやさしい・野菜の食味が良い | コスト高・病害虫管理に手間・収量や安定性の面で慣行農法に劣る |
自然農法 | 耕さず、堆肥・肥料・農薬を使わない | 自然を活かせる・野菜の食味が良い | 雑草の管理が大変・初心者には難しい・収量や品質が不安定 |
菌ちゃん農法 | 菌の力で土づくり・肥料も農薬も不使用 | 土壌改善力が高い・野菜の食味が良い | 最初の畝立て&有機物の投入が大変・認知度が低い・機械化が難しく収量は限定的 |



それぞれに良し悪しがあるよね♪
ムクナ豆の自然農法について補足
今年のムクナ豆栽培ではムクナ豆のサヤや自家製の落ち葉堆肥を入れています。
「それは邪道では!?」と怒る人がいるかもしれませんが、私は「問題なし!」との考えです。
- サヤは昨年この畑で育てた豆の残渣だから外から持ち込んだものではない
- 落ち葉堆肥は私が米ぬかと混ぜて発酵させた加工品ではあるが、畑と同じ地域の木々の葉を堆肥化したものだし、動物性の堆肥ではないのでセーフ
- そもそも苗の初期生育をサポートする程度の少量しか投入してないから、環境への影響は軽微



軽微どころか、苗の初期生育サポートが終わった頃には力尽きてると思う
そもそも3大原則は「生態系を乱すな!」という教えだと私は理解しています。
「生態系を乱す要因となる堆肥や肥料など畑の外の資材を入れて耕したり、農薬を使ってむやみやたらと虫や微生物を殺すと、その歪みが必ずどこかに悪影響を及ぼすぞ」と警鐘を鳴らしているのが自然農法の根本的な理念です。



化学化合物だけでなく牛糞や豚糞など家畜の堆肥も嫌う傾向にあるよ
ですが極論を言ってしまうと、「野菜を育てる行為」とは「畑(その土地)では自生していない植物を外から持ち込んで強制的に育てるという”不自然”な人為的行為」。
農業なんて、所詮は人間のエゴなんですよ。
だから可能な限り自然と共存しながら野菜を育てるにしても、ゆうて人為的操作が最低限は発生する。
論点は「どこが”最低限”なのか?」で、ここに考えの違いが現れます。
私は「畑で出た残渣や、その土地の自然物にちょこっと手を加えた資材を投入することは問題ない!」との判断です。



ていうかMUSTだと思ってるよ
「自然農法」は有機農法と違ってJAS認証(規格)が存在しないので、色んな考えの人や流派があります。
「鶏糞堆肥は入れてOK(昔は畑でニワトリを放し飼いしてたから)」とか「米のもみ殻は入れてもOK(田畑で出た有機物だから)」とか、
逆に「絶対に何も入れるな」「畝すら立てるな」みたいに厳格な人まで。



”戒律”に厳しい「自然農法警察」もいるみたい
もしかしたら「お前のは自然農法として認めん!」とお叱りを受けてしまうかもしれません。
ですが私は肝心なのは農法の名称ではなく、自分なりの思想だと思ってます。
ぶっちゃけ、私にとって呼び方は便宜上のものなので、何でもいいんです。
今は、私のムクナ豆栽培方法を最も的確に表現できそうなのが「自然農法」だと思ってるので、そう呼んでいるというだけです。
今後も家庭菜園と菌ちゃん農法と切り分けて運用していくつもりです!
選択の基準は「合理性×好奇心」
余談ですが、私は慣行農法アンチでも化学アンチでもではありません。
ビニールやプラスチックなどの石油製品も必要に応じて使います。
むしろPC・スマホ大好きだしネットないと死んじゃうしサブスクとか色々サービス契約してます。
最近で言うと、生成AIを要所要所で仕事にも取り入れています。



個人事業主の強い味方となる生成AI様には本当に助けられてるよ
急速なテクノロジーの進化に言いようのない不安は覚えつつも、その恐怖の波に飲まれるよりは「乗りこなして溺れないようにしたい」。
「流行に乗り遅れたくない!」みたいな感情論よりも、「その方が自分の小さな幸せを守れそうな気がする」という発想です。



乗りこなすことで田舎でも自分にとって”快適な巣”づくりが実現可能だと信じてる♪
私は自分を「合理的判断」と「好奇心」の両輪で動くタイプの人間だと思ってます。
那須に移住して田舎暮らしをしている理由も同じです。
- 会社に通勤しなくていいなら家賃が安くて庭が広い家に住みたい
- 毎週キャンプ場に通うより庭で森林浴しながらBBQ出来たほうがカンタンだし便利だし安上がりだよね
- シンプルに「もう都会で20年過ごしたから田舎生活に興味ある」
などなど。



そもそも都会に住んでた理由も「大学に近い」「会社に近い」という合理性だけ
野菜作りに焦点を戻しますと。
化成肥料や化学農薬を使わないのは、それは私が「アンチ」だからではありません。
私の環境(規模)では「化学の力を借りる必要はほとんどない」という合理的判断です。
その証拠に、ガソリンで動く小型耕運機こまめを随所で活用していますし、ポリマルチも活用しています。
例えば菌ちゃん農法においては「ポリマルチによって菌ちゃんが増えやすい環境が作りやすい」という理屈に納得したし、それでうまく行ってるという証拠もあるからそうしてます。



草マルチでは雨から菌ちゃんを守りきれない時があるからね
ムクナ豆は自然農法を採用しているものの、過去の経験値から「その農法が適している」と判断したからです。
なので、必要に応じて石油由来製品も活用しています。
- 行灯に使ってる堆肥袋はビニール(ビニールだから中の温度が上がる)
- 棚(支柱)は金属製の単管パイプ(初期投資は高いが耐久性も高い)
- 蔓ネットも化繊のもの(手に入れやすい)



無駄を排除しつつ必要なものは活用!
そして最終判断は「せっかく色んな農法があるなら色々と試してみたい!」という好奇心です。
化成肥料や化学農薬を使うと今よりも野菜作りがカンタンな(確実性が上がる)ようですが、私が求めているのはカンタンよりも「楽しい」。



ほどよく難しい方がチャレンジしがいがあるってもんよ☆
ちなみに畑の自然農と菌ちゃん農法は共存可能だし、家庭菜園は畑から離れているので影響はありません。
もし何らかの理由で私が広大な農地を手に入れて大規模な農業を始めるとしたら、AIをバリバリ活用するスマート農業を全面採用してテクノロジー最先端農場を目指すと思います。
その方が合理的だと考えるからです。
ま、そんな日は来ないでしょうけど。



仮定の話だよ
今後も応援よろしくお願いします!
いうなれば「”こだわらない”事にこだわる」のが私の行動原理です。
「”これ”と決めたら貫けよ!」というご指摘に対しては、「”こだわらない”を貫きます!」お答えします♪
引き続き、色々と悩みながら試行錯誤しながら、それすらも楽しみながら、自分のペースでチャレンジしていく所存です☆



これからももゆるっと応援してねー!




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